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サラの過去物語

崖から落ちた 

雪に滑った ただそれだけ

下を見つめてみた

真っ赤な血の池が出来ていた



シベリアは寒かった

俺は 小さな 小さな 豚小屋で生まれた

どこかの神とは違い 俺は生まれても 祝福されなかった

むしろ 皆は絶望したのではないのだろうか



俺は小さな民家の養子になった

環境が小さいせいか 俺自身も人一倍体が小さかった

そのせいで 当然のように 俺は周りからの暴力の対象となった



(お前なんか どこかに行ってしまえばいいのに)

(醜い 化け物め)


別に不思議には思わなかった

だって 俺は普通ではなかった なら しかたがない




俺を生んで母は死んだ  父親は母が妊娠したことをしった時から行方がしれない

俺を引き取った親族は 俺を哀れみや汚物を含んだ目で 俺を見ていた


別にいいさ それが定めだ



学校に通うようになった


(お前なんか生まれてこなければよかったのに)

(お前が死んだって 誰も悲しまないね)

(お前なんか しんでしまえ)


前より 暴力が酷くなった気がする


昼食のパンは 雪に埋められた

取り出して喰らった

周りは 何が可笑しいのか 笑っていた

俺はただ 腹が減った



(いいかい サラ ちゃんと規則は守るんですよ?)

(言うことを 守らない子には 怖い民警さんがきて シベリアに送られてしまうからね)


分かってる


だから 俺は 人一倍物事に対して真剣に対応した



俺はいつものように暴力を受けていた

いちいち対応すると余計に腹が減る

その時 暴力をふるっていた一人の青年が悲鳴をあげた

そうか もうこんな年になっていたのか

気づいたら 体も人一倍大きくなっていた


青年は泣いて わめいた

その手には 俺の歯の破片が刺さっていた

頬でも殴った瞬間に 刺さったのだろうな



俺は先生に呼ばれた

あの青年のことらしい

(この汚らわしい餓鬼が お前はこれ以上何を奪う気だ?)

俺は罵倒された そして殴られた 蹴られた

ただひたすら 奥歯がじんじんした



学校を卒業した と同時に

俺は軍隊に入った

親族は何も言わなかった

ただ その目は

安堵と解放に包まれていた



シベリアを歩いていた

軍事学校なんてのには 入れてもらってないため

俺は戦争最前線の 歩兵だった



暴力は無かった


ただ 敵国の人間に対しての暴力はたくさん見た


銃がある それでたくさんの人が倒れた

敵国も 祖国の者もだ



気づいたら 人数が減っていた

半分を切った頃に気づいた



その日は何だか寒かった

今まで気にしてなかったが 初めて寒さを感じた気もする

何だか 雪が冷えていた


いつもの動き いつもの風景

ただ違ったのは

今 車に乗っていることだ

後ろには敵国の人間が乗っている

祖国の者が笑って話していた

(俺がこいつら捕まえたんだぜ)

はじめてみる景色だった


雪の中に 崖があった

なかなかの高さだった 



敵国の人間は 車からおろした

そして


ああ 暴力

崖に 一つ二つ三つ・・・

たくさん赤色ができた

最初はたくさん

最後は少し






(ねぇ 雪の方)

『ねぇ 雪の方』



聞こえた

何かが聞こえた

『ねぇ 貴方に聞いて欲しいの』

初めてだった 初めてだった

不思議だった 


『私はね 死んでしまうの?』

分からない ただ聞こえた

目をこらした 

『助けてもらいたいんじゃないの 本当なのよ』

白色 白色 赤色 黒色

見えない どこだ

『ただね ちょっぴりね』


灰色


『怖いの』 「見つけた」


別の声が聞こえた

酷く重く かすれた声

初めてだった 初めてだった 


灰色は・・・ 灰色の髪をした少女は わらった

けど それはわらってるようではなくて


『ふふ・・・なかなか格好いい声なんですね 喋られないかと思ってましたわ』


そして 気づいた

俺は 初めて

俺の声を聞いたことを


初めは震えて でも振り絞って 


「あ」













ああ 暴力

銃口が少女の頭についた

(こいつで 最後だ)




音がした 音がした

ただ 銃口から雪より白い 

煙が出ていた


少女は崖から見えなくなっていた


落ちた

そう思った



今日は不思議な日だ

俺は なぜだか はじめて


「どけ」








少女を担いだ ただ歩いた


どこまでも 果てしない道を


少女は温かかった









風が吹いた 雪がきた

俺の足跡は それでも赤を主張していた


嫌だった 少女はなんだか重く感じれた


そして



ただ 腹がへった



崖の上についた

赤が転々としていた


全部 俺がやった



汚く 醜く 暴力を

ふるった 覚えがある

少し 体がきしんだ

肩や 膝が 外れていた

疲れた



ただ体が軽くなった



俺は少女を置いた 

少女は腕がとれていた 頭にも 穴が開いていた

穴に雪を詰めてみた

もう 赤色には染まらなかった



腹が減った

腹が減った


何だか体が軽くなった 何かがまるで無くなったように

先ほどの事が嘘のように 疲れて真っ白だった


食料を見た

何も無かった


赤色の近くを見た

赤色の パンがあった くった 足りない

赤色の肉 足りない 赤色の酒 足りない

くったくったくった

足りない足りない 死にそうだ

腹が減った腹が減った

目眩がする 歩けない 歩けない





























臭う






























あった



一つだけ




これを くわなきゃ


赤色に 手を伸ばす





これを くわねば



ブチッと音をたて とってみた


口を開ける



初めての感覚だった




「生きれない」










くった 瞬間に 吐いた

くさい 吐き気 汚い 食べたくない



でも 腹が減った


自身の腹を殴った

肋骨が折れていることに気づいた


息を止めた

ただ 少女のことを思った


そして








「おぇっ」