深海の温泉

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うそつき

・・・・・・

目を開けてみた そこには 襖に 薄暗い部屋

いつも通りの部屋

・・・それでも 新鮮に感じる 

一体この部屋に住み始めて 何年だろう

俺は 改めて 部屋を見回す

別段良い物でもない 車いすが

・・・・ キイコォ ・・・キイコォ 

そうきしんだ音が 部屋の中で 響いていく

その音が余計に 俺自身が もう長いこと此所に居るのだと

いわれているような気がした



庭に出てみた 

別に 足などは悪くは無いから 歩ける


今日もこの家だけは 別世界のように
しぃん・・・・ と 静まりかえっていた

そして 思い出す 昔のこと

兄弟が 楽しそうに笑い

・・・あの女があいつに会いに来ていて

あいつは・・・・・

頬を赤らめ 女を 兄弟を・・・

そして

俺自身も 見て

嬉しそうに 微笑むんだ



なんだかさぁ

まだ信じられなくて

俺だけが 何だか

此所に残されちゃった 気がしてさぁ

みんなが 何処か 遠くに行っちゃって

あいつの所へ あいつ自身も

皆を連れて消えてって


なぁ 俺ってそんなに怖いか?

確かに昔から 皆より浮いているところはあったかもしれない

だから 皆 優しい分かりやすい 彼奴の所に行くのか


俺の名前知ってるか?

みんな 俺のこと 仁って呼ぶよな

ホントはそんな名前じゃないからな

俺は仁じゃないからな

俺は大日本帝国でもないよ

俺は 俺は 俺は


「臨~!」


あぁ ・・・ そうだよ

「・・・・何だ・・・また来て」

そう 俺はさあ

「うーんとね・・・ぇ

         何だか 臨が 泣いてそうな気がして」

・・・・何だよ お前はそうやって

ホラ 仁の所にでも行けよ

だから 早く 止まれ 止まれ 止まれ・・・・

「・・・・そうか・・・」

言えないよ 言えないけれども


ありがとう 大好きだよ

泣き虫が

この涙は 痛いからでは ないんだよ
嬉しいなぁ・・・